猫に髭がある3つの意味と注意点

猫に髭がある3つの意味と注意点

一見、ただの飾りのようにも見える猫の髭。しかし、実はとても重要な役割を担っているということをご存知でしょうか。猫の髭は、猫が活発的に動く上で欠かせない器官なのです。今回はそんな猫の髭の役割や、猫の髭を扱う際の注意点についてまとめました。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫に髭がある理由

こちらを見つめる三毛猫の顔アップ

猫の顔には、たくさんの髭が生えています。

人間の場合、からだの機能を維持する上で髭が大きな役割を担っているというわけではないので、剃ってしまう方が多いです。

しかし、猫の場合、髭はとても重要な役割を担っています。

今回は、猫の髭が生えている理由や役割、猫の髭を取り扱う際の注意点などについて詳しく紹介していきます。それでは早速、猫に髭が生えている理由や役割から見ていきましょう。

センサーの役割をしている

猫の髭は、センサーのような役割を持っています。猫は髭を使って、風の流れを感じたり、周りにある物を把握したりすることができるため、獲物を捕まえる際や、狭い場所を歩く際などにも欠かせない器官といえるでしょう。

感情表現を表す部分でもある

猫は、感情表現をしたいときに、尻尾や耳などを動かす習性がありますが、実はそれに伴って髭も動かしています。猫の髭が下を向いているときはリラックスしている気持ち、猫の髭が上を向いているときは嬉しい気持ち、猫の髭が頬にくっついているようなときは、不安や恐怖の気持ちなどを表しています。

猫は一見、無表情なように見えて、実は髭で一生懸命感情を伝えようとしているのです。猫の気持ちを知りたいときは、髭にも注目してみると面白いかもしれませんよ。

目を保護している

猫の髭は、目の上にも生えています。目の近くの髭に何かが触れたら、瞬時にそれを察知し、すぐに目を閉じることができます。つまり、目の近くにある髭は、まぶたとも繋がっているのです。

猫の髭を取り扱うときの注意点

上をじっと見つめる猫

猫を飼っている人は、猫の髭の扱いにも注意が必要です。猫の髭は、猫が元気よく動き回るために欠かせない器官なので、優しく扱ってあげましょう。

絶対に髭を切らないこと

犬の場合は髭を切ることもありますが、猫の場合は先述した通り、いろいろなものを感じ取る大事な器官なので、切るのは厳禁です。

猫の髭を切ってしまうと、今まで頼りにしていたセンサー部分を失うわけですから、平衡感覚を失ったり、空間を感じ取ることができなくなったりします。

そのせいで、よろよろとした歩き方になったり、動き回ることを嫌がって一日中部屋の隅でじっとしていたりといった症状が出ることもあるのです。なので、猫の髭は絶対に切らないよう注意しましょう。

大事な愛猫の髭をわざと切る人はいないと思いますが、毛玉を切り取っている際に、誤って切ってしまったというケースや、猫の髭の役割を知らないで切ってしまったというケースはたまにあるので気を付けてください。

病気などで髭が抜けている場合は要注意

切るのは厳禁といわれている猫の髭ですが、実は自然に抜け落ちることもあります。猫の髭は半年に一回程度、生え変わるようになっているのです。

このように、生え変わりの影響で自然に猫の髭が抜け落ちた場合は、特に焦る必要はありません。通常、生え変わりの場合は一気にごそっと抜け落ちることはないため、1~2本抜け落ちたとしても残っている髭でセンサーを務めることができます。

ただし、病気によって猫の髭がどんどん抜け落ちてしまうケースもあるので、そのようなときは注意が必要です。ニキビダニ症や猫エイズなどの病気は、皮膚に炎症が起きるため、その影響で髭がどんどん抜ける可能性があります。

また、過度なストレスを猫が感じている場合も要注意です。環境の変化などによって大きなストレスを猫が抱えてしまうと、まるで人間の脱毛症のように、猫の髭がどんどん抜け落ちることがあるのです。

もし、猫の髭がやたらと抜け落ちているようでしたら、病気やストレスのサインの可能性が高いので、できるだけ早めに動物へ連れて行きましょう。

もし誤って猫の髭を切ってしまったら?

長い髭のはちわれ模様の子猫

髭が伸びるまで待つ

もし誤って猫の髭を切ってしまった場合、基本的には猫の髭が伸びるまで待つしか方法がありません。1~2本切ってしまった程度であれば、猫の生活に大きな支障をもたらすことはないでしょう。

しかし、誤って一気に髭を切り落としてしまった場合は、猫にとって大きなストレスを与えることになるということを覚えておきましょう。

根本から髭を切った場合だと、完全に伸びきるまでに約2~3か月かかります。

動物病院で相談

ちなみに、髭自体に神経が通っているわけではないため、誤って切ってしまったとしても、猫が痛みを覚えることはありません。ただし、髭がなくなり平衡感覚などを失ったせいで運動不足に陥ったり、猫によっては食欲不振に陥ったりすることもあるため、あまり症状が酷いようだったら、動物病院で相談することをおすすめします。

特に、食欲不振で全くごはんを食べなくなってしまうと命に関わってくるため、嗜好性の高いウェットフードを与えるといった工夫をすることが重要です。

まとめ

髭を前に倒してあくびをする猫

猫の髭は、人間でいう手足や目のような役割を担っています。そのため、人間の髭と同じような感覚で乱暴に扱うのは厳禁です。

自宅で毛玉をカットする場合は、誤って一気に切り落としてしまう可能性があるため、顔周りにハサミが当たっていないかどうか、十分注意しながら行いましょう。

もし、誤って猫の髭を切ってしまった場合は、猫の様子をよく観察しておき、大きな異変が出るようであれば、動物病院に行くのが賢明です。

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