猫の尿検査 採尿の方法とチェックすること

猫の尿検査 採尿の方法とチェックすること

尿検査は猫の健康状態を知ることができる大事な検査です。特に猫は体質や体の構造上、尿路結石症や膀胱炎、腎不全などの泌尿器系の病気にかかりやすく尿検査が必要になりますので正しい採尿の仕方やコツを教えます。実際に尿検査をすることによってどんなところに注目し何が分かるのか、また関連する病気も含めてお話しします。

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猫の尿検査における正しい採尿の仕方

尿検査と猫

ウロキャッチャーを使う

先端がスポンジ状になっており猫の採尿ができやすいように開発された採尿器です。最近では動物病院だけではなくネット通販でも簡単に入手することができ、私が働いている動物病院でも猫の尿検査が必要な場合はウロキャッチャーを渡して自宅で採尿してもらっています。

先端のスポンジのところにオシッコを直接染み込ませて使うので猫が普段通りにトイレしている時に、後ろからウロキャッチャーをお尻下にそっと入れると採尿しやすいです。

染み込んだオシッコの量が少ないと猫の尿検査ができない場合がありますので、およそ10秒くらい以上オシッコを直接染み込ませると良いです。ウロキャッチャーが入っている袋に採尿の方法が記載されているので安心して使うことができます。

また採尿の失敗で多いのがウロキャッチャーが猫砂についてしまっていることです。ほとんどの猫砂はオシッコがつくと吸収し固まる性質があります。そのためウロキャッチャーについてしまうとスポンジ全体が猫砂と共に固まってしまい尿検査ができません。

いつもより猫砂の量を減らして猫の足元の隙間を広くつくってあげることで猫砂が付きにくくなります。

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システムトイレを使う

尿検査のためにシステムトイレで猫のオシッコを採尿する方法もあります。一般的な猫のトイレはオシッコすると猫砂が吸収して固まりますが、システムトイレはオシッコしても猫砂やチップは吸収されずに下にあるマットやシーツに流れ落ちる仕組みになっています。

システムトイレ用のマットやシーツは猫1匹の場合数日分のオシッコが吸収されるので、定期的な掃除だけでいいのが特徴です。

そのため尿検査用に採尿する際はマットやシーツを取ってあげると1番下のトレーにオシッコが溜まるので清潔なビンや容器に入れます。

しかし猫は神経質な動物で特にトイレにはこだわりが強い子がおり、いきなり変えてしまうと排泄を我慢したり粗相する原因にもなりますので事前にシステムトイレに慣らしておくとスムーズにトイレしてくれるようになります。

またシステムトイレ用の猫砂やチップはオシッコを染み込まないため、普段は毎日掃除をしなくて済みますがオシッコが付着しているため汚れている影響で下のトレーに溜まっているオシッコが新鮮ではない可能性があります。

時間が経った猫のオシッコは細菌の数が増えたりするので正確な尿検査がおこなうことができません。可能な限り採尿する場合は新品な猫砂やチップの状態の時にオシッコを取ると良いです。

また多頭飼いの場合は他の猫がトイレしてしまってはオシッコが混ざってしまうので意味がありません。必ず採尿する猫だけがそのトイレを使うように隔離したりなど工夫する必要があります。

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採尿シートを使う

猫は非常に敏感なところがあるため少しでも違和感があるとトイレを我慢する傾向があるため「いない時にしかオシッコしない」など上手く採尿できないことが多いことから獣医師により「採尿シート」が開発されました。

採尿シートはネット通販で入手することができ使い方は採尿シートをカットして猫砂の上に置くだけです。いつも通りに猫がトイレをし、シーツがオシッコを吸収して絞ることで採尿できるので清潔なビンや容器に移し替えます。採尿シート自体は猫の尿検査の結果に影響がないといわれているため安心して使うことができます。

しかし普段トイレをする時、猫は前足で猫砂を掘る習性のため採尿シートがトイレの端に移動されてオシッコがついてなかったり、猫砂の下に埋もれてしまい固まってしまう恐れがあります。

そのため採尿シートを使う場合は、オシッコを吸収せずに固まらないシステムトイレ用の猫砂にすると失敗しにくくなります。

猫の尿検査で確認する事

尿検査をしそうな猫

オシッコに関係する病気として尿路結石症や尿道閉塞、膀胱炎などの下部尿路疾患や腎不全などの泌尿器疾患があげられ、猫に非常にかかりやすい病気としても知られています。

猫の尿検査でこれらの疾患に対してある程度状態を知ることができるため治療方針を決めることができるので尿検査は非常に大事な検査です。猫の病気や状態によっては定期的に尿検査をおこなう必要があります。

通常はどの項目も(−)ですが異常があった場合は(+)〜(+++)の3段階で評価されます。

尿ph

  • phが高いとストラバイト結晶になりやすい
  • phが低いとシュウ酸カルシウム結晶になりやすい

猫の尿検査でオシッコのphが高いか低いかを調べる項目です。通常のphはおよそ6.0〜6.5ぐらいですがそれよりも高くなるとアルカリ尿、逆に低くなると酸性尿になります。

phが極端にどちらかに傾いてしまうとオシッコの中に結晶ができる原因となりphが高いアルカリ尿はストラバイト結晶、phが低い酸性尿はシュウ酸カルシウム結晶ができてしまいます。猫のほとんどはphが高いストラバイト結晶になりやすいです。

結晶ができてしまうと尿道に詰まりオシッコが出なくなってしまう尿道閉塞や結晶がたくさん集まり尿路結石症をおこしてしまいます。オシッコが出ないと命に関わってくる恐ろしい病気です。最悪の場合は手術して結晶や結石を取り除いたり、尿道を広くする必要があります。

尿タンパク

  • 通常は陰性(−)
  • 腎不全だと陽性(+)

猫の尿検査でオシッコの中にタンパク質が出てないか調べる項目であり、通常は陰性(−)です。タンパク質は体をつくってくれる非常に大事な栄養素の一つでもあるため本来は腎臓で濾過することができないため尿と一緒に排出することはありません。

しかし腎不全になり腎臓の働きが悪くなると腎臓はタンパク質を濾過してしまい尿と一緒に出てしまいます。腎不全を発症すると尿検査で尿タンパクが(+)と反応がでます。

潜血

猫の尿検査でオシッコに血が混ざっていないか調べる項目であり、見た目で分からない血尿でも分かることができ通常は陰性(−)です。

オシッコが出る過程でどこからか出血していることで血尿がおきる場合が多く、特に猫は膀胱炎尿石症(結晶)の病気になりやすいです。

潜血反応と共に尿phが異常に傾いていないか、結晶が出ていないか注目して尿検査をおこなっています。

グルコース(尿糖)

  • 通常は陰性(−)
  • 糖尿病になると陽性(+)

猫の尿検査でシッコに糖が出ていないか調べる項目で、通常は(−)ですが(+)の反応があると糖尿病の疑いがあります。糖尿病になると腎臓に障害をあたえるため合併症として腎不全があげられます。そのため尿タンパクの項目が反応していないかチェックします。

白血球

猫の尿検査でオシッコを遠心分離をし下溜まった沈殿物から白血球の有無を調べ、正常は(−)です。しかし腎臓や尿路系に何らかの障害や炎症がおこると白血球が現れるため泌尿器系の病気を疑います。

猫の尿検査で見つかる病気とは

病院にいる猫

尿路結石症

猫のオシッコに結晶ができ集まるとやがて結石化します。特に猫は膀胱や尿道に結石ができやすく詰まってしまうとオシッコが全く出なくなり尿毒症をおこし命の危険になります。

また結石が膀胱内の粘膜を傷つき炎症をおこす膀胱炎になることもあります。

症状

  • 頻繁にトイレにいくがオシッコが出ない
  • オシッコが少量しか出ない
  • オシッコを出す時痛そうに鳴く
  • 血尿をする
  • 陰部をしきりに舐める

猫が頻繁にトイレに行くがオシッコが出ない、あるいは少量しか出ない。オシッコを出す時に痛そうに鳴く(排尿痛)、血尿、陰部をしきりに舐めて気にするなどの症状が出ます。

特にオス猫はメス猫と比べて尿道が細くて長いため、多量の結晶や結石で詰まりやすく尿道閉塞をおこしやすいです。

もしオシッコが全く出ていなければ腎臓に負担がかかってしまい尿毒症をひきおこし命を落とす危険があるため早急に処置をしなければいけません。

尿検査で分かること

尿路結石症の疑いや発症していると尿phの値がアルカリ性か酸性のどちらかに傾いています。猫の場合はアルカリ性に傾くことが多くphが7.5や8.0など正常より高くなります。

また尿路系に炎症や粘膜が傷ついて出血している場合は潜血反応が(+)だったり出血量が多いと(+++)となります。見た目でオシッコに血が混じっている(血尿)と分かることもあるが、見た目で分からないケースもあるため非常に重要な項目の一つです。

血尿の場合は潜血反応と共に沈殿物からたくさんの赤血球が見られることがあります。

腎不全

腎不全は猫にかかりやすい病気であり、高齢猫の半数以上は腎不全にかかっているともいわれています。

通常猫の腎臓は体内の老廃物や余分な水分をオシッコと一緒に排出する大事な働きをもっていますが、腎不全になり腎臓の働きが悪くなると本来排出されるはずの老廃物が体内に溜まってしまい量が多くなると尿毒症をひきおこし命を落とします。

ほとんどは年齢による慢性腎不全が多いですが、猫が尿道閉塞をおこすと腎臓に負担がかかり急性腎不全を発症するケースもあります。

症状 

  • 水をよく飲み頻尿になる
  • 脱水症状
  • 嘔吐
  • 食欲低下
  • 高血圧
  • 貧血

初期症状は水をよく飲むようになりその分オシッコの量が増えます。腎不全になると必要な水分再吸収ができなくなるため脱水症状をおこします。

また体内に溜まってしまった老廃物の影響で嘔吐するようになり食欲も低下していきます。腎臓は血圧を調節したり、造血ホルモンによる働きもありますが腎臓の機能が低下すると高血圧や貧血になります。

尿検査で分かること

腎不全になると必要な栄養素であるタンパク質が濾過されてしまいオシッコと一緒に排出されるため尿タンパクの項目が(+)など反応が現れます。

通常のオシッコは体内の老廃物が含まれているため濃い色になりますが腎不全になると老廃物が排出されないので薄い色のオシッコになります。

その場合はオシッコの濃さを調べる項目である比重が低くなり末期状態になると比重が1.020以下になりほぼ透明に近くなります。またオシッコの臭いがしなくなることも特徴です。

糖尿病

血糖値(血液中のブドウ糖)が高くなる病気です。通常は膵臓にあるインスリンが働いてくれますが、唯一血糖値を下げる働きをもっているのはこのインスリンしかありません。

そのためインスリンの働きが悪くなったりインスリン自体が全く出ていないと血糖値が急上昇します。

症状

  • 水をよく飲み頻尿になる
  • 食欲が増す
  • 脱水症状
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 下痢
  • ふらつき
  • 昏睡状態

初期症状は水を多く飲みオシッコの量も増え、食欲が増すこともみられます。糖尿病が進行すると脱水症状がおき、体重が減少します。糖尿病を発症すると合併症をおこしやすく特に膀胱炎や腎不全などが多いです。また嘔吐や下痢、ふらつきも見られ昏睡状態に陥る場合があります。

尿検査で分かること

インスリンの働きが悪かったり、出ていないと細胞にブドウ糖を渡すことができなくなります。その結果血液中にたくさん溜まってしまったブドウ糖がオシッコに漏れ出すようになります。そのため尿検査のグルコースの値が(++)や(+++)と異常を示します。

まとめ

尿検査の最中の猫

猫は体質や体のつくりで特に下部尿路疾患や腎不全になりやすいため、発症した原因や病気の進行度、今後の治療方針のために尿検査は非常に大事です。

また猫の中には暴れてしまい採血ができず血液検査をおこなえなかった子に対しては尿検査を勧めており、それによりある程度体の状態を知ることができます。

そのため飼い主さんにはお家で採尿してもらうのですが上手く採尿ができないケースが多く、苦戦している声をよく聞きます。なかなか猫のトイレのタイミングが合わないことも要因に含まれています。

いつも猫がトイレする時間帯を把握したり、猫砂の量の調節をするなどの一工夫が必要になります。

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