子猫のうちに行う去勢手術 最適な時期や注意点とは

子猫のうちに行う去勢手術 最適な時期や注意点とは

猫を飼うにあたって飼い主さんはワクチン接種やノミダニ・フィラリアの予防以外に去勢(避妊)手術をするほうが良いと言われることがあります。特に子猫のうちに去勢手術をすることを勧められると思います。なぜ子猫のうちにした方がいいのでしょうか?しかし「健康な体に傷つけるのは嫌だ」「子猫のうちは手術したくない」と思う方もいると思います。今回は猫の去勢手術についてメリットや注意点などを踏まえてお話しします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

子猫のうちに行う去勢手術

去勢手術をした子猫

去勢手術とは?

  • オス猫の精巣を摘出する
  • 子猫は予防接種を受けてから

子猫の去勢手術はオス猫の精巣(睾丸)を摘出します。通常は精巣(睾丸)は2つあり肛門の近くにあります。手術の際は皮膚を小さく切開し精巣(睾丸)を取り出し繋がっている精管を結紮し摘出をします。傷口が小さいため縫合しないか、あるいは一糸のみ縫合します。

メス猫の場合は開腹手術となるためオス猫の去勢手術の方が体の負担が少なくて済みます。基本的に午前にお預かりをし手術時間(昼の休診時間)に手術をおこなうので免疫力がない子猫やワクチン未接種の猫はまず予防接種を受けてから去勢手術する流れになります。

費用

  • 大体10,000〜20,000円
  • 別途血液検査代がかかる

子猫の去勢手術にかかる費用は動物病院によって異なりますがおよそ10,000〜20,000円くらいです。去勢手術は保険対象外になりますので全額負担となります。

病院によっては手術前に血液検査をし安全かどうか確認した上でおこなう場合がありますので血液検査代・内服薬代・エリザベスカラー代金もかかることがあります。

去勢手術することによるメリットとは

性格が丸くなる、落ち着く

子猫の性格が丸くなり穏やかになる傾向があります。猫は元々単独行動動物なため縄張り意識が非常に強いです。

特にオス猫の方が攻撃性が高く、自分の縄張り範囲に他の猫が入ってくると威嚇して追い出そうとしたり、メス猫を巡っての争いの喧嘩が絶えません。

特に発情時期になると激しくなり、発情行動を抑制することが難しくなるので発情前の子猫のうちに去勢手術することによってある程度発情のストレスを抑えることもできます。

マーキング行為をしなくなる

オス猫は自分の縄張りを他の猫に示すために、あちこちに臭いがキツイ尿スプレーによるマーキング行為をします。

一度でも尿スプレーすると臭いが残り、再び同じところにしやすいので子猫のうちに去勢手術することでマーキング行為を抑制することができます。

オス猫特有の病気を防げる

子猫の去勢手術は精巣(睾丸)を摘出するため精巣腫瘍を防ぐことができます。また性ホルモンの関係により前立腺の肥大も予防することができ、オス猫特有の病気を予防ができたり発生率を低くすることができます。

また攻撃的な性格および行動の抑制により、喧嘩が原因で感染する猫免疫不全症候群や猫白血病ウイルス感染症の感染リスクを減少することができます。

子猫のうちに去勢手術した方が病気の発症率が一段と低くなります。

子猫に去勢手術する時期

去勢手術中の猫

生後6ヶ月以降で体重はせめて2 kg以上で

中には生後4ヶ月など早い段階で子猫の去勢手術をするべきとの声がありますが、子猫の成長期および性成熟が終わるのは生後約6ヶ月ほどといわれています。

早い時期に子猫を去勢手術をすることでマーキング行為などを抑えることができますが、まだ成長期中に去勢手術をしてしまうと子猫の体に影響をあたえてしまいホルモンバランスが崩れ、臓器に障害をおこす危険があります。

また去勢手術は麻酔をかけておこないます。成長期が終わっていない子猫にしてしまうと体重も軽く体が小さいため麻酔のリスクが高くなります。

去勢手術は健康な状態でおこなうものです。体重が少なかったり、成長期の途中に麻酔をかけると逆に麻酔リスクや体の負担が大きくなり命に関わります。そのことから、せめて去勢手術は生後6ヶ月以降で体重はせめて2 kg以上が好ましいです。

子猫の成長は個体差があり早い子もいれば遅い子もいますので事前に動物病院で診察すると安心です。

生後6ヶ月頃の子猫

生後6ヶ月頃になると子猫の歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期です。永久歯が生えてくると子猫は家具やオモチャ、人の手など色んなものを噛むようになります。

また成長期が終わると体重の増加が緩くなり骨格も決まってきます。子猫の歯が永久歯に生え変わったり体重の増え方が落ち着いてきた頃が去勢手術可能な時期といえます。

子猫に去勢手術を行う際の注意点や守ってほしいこと

去勢手術をする猫

手術前日および当日の朝は絶食絶水

子猫に麻酔をかけて去勢手術をおこなうため手術前12時間以上の絶食が必要になります。食事は手術前日の夕方6時ごろまでに済ませ、水は当日の朝7時には下げてください。

動物病院によって絶食絶水の時間が異なる場合がありますので必ず注意事項の確認をしてください。麻酔をかけると体全身の力が抜けるため胃に食べ物や水が残っていると嘔吐しやすく、誤嚥性肺炎や窒息を引き起こす危険があるからです。

手術が無事に終わり帰宅したら食事量はいつもの半分でよい

子猫が麻酔から目覚めても消化管の働きが元に戻るまで時間がかかります。ちゃんと消化管の働きが戻っていない状態で食事をとってしまうと吐いてしまうことがあります。

そのため手術当日はお家に帰ってから2〜3時間は様子見るようにして、その日の食事量は普段あたえている半分の量に抑えます。

また飲水も少量にし嘔吐しないか注意が必要です。吐く様子がないようでしたら翌日からは通常通りの食事量をあたえても大丈夫です。

また子猫の個体差によりますが手術後2〜3日は食欲にムラがあったり元気がないこともあります。調子が悪い日が何日も続いているようでしたら受診を勧めます。

傷口を舐めたりいじってないか注意する

ほとんどの子猫の去勢手術は傷口自体が小さいため縫合あるいは一糸縫合のみですが気にして傷口をよく舐めたりする場合があります。

舐めすぎてしまうと傷口がただれてしまう恐れがあるので常に子猫を見える範囲においといて傷口を気にしていないか注意が必要です。

手術後はあらかじめエリザベスカラーをつけておく方が安心です。
病院によっては手術後3日目に傷口確認のため受診をお願いする場合があります。

去勢手術後は太りやすくなるため食事管理が大切

性ホルモンの影響で去勢手術をすることによって子猫の代謝が悪くなり太りやすくなるため食事量を控えなければいけません。体重が増えてしまうと尿道閉塞などの泌尿器疾患や糖尿病のリスクが高くなります。

子猫用フードはカロリーが高いため、去勢手術後は去勢した猫用フードに切り替えます。生後6ヶ月頃になると成長期が終わり体重の増加が落ち着くので、その子の適正体重といえます。フードパッケージ裏に記載されているフード量を参考にあたえることが大事です。

また子猫が去勢手術前と比べて食欲が旺盛になる傾向があるためオヤツのあたえすぎは厳禁です。

まとめ

去勢手術を終えた猫

子猫に去勢手術をすることによって性格が穏やかになったりマーキング行為をしなくなりますが、一度でも発情期を迎えてしまうとマーキング行為が続いてしまったり攻撃的な性格になりやすいです。

1番去勢手術が好ましい時期は子猫の成長期が終わった生後6ヶ月以降です。しかし早い時期に去勢手術をしてしまうと成長期の子猫にとって体に大きな負担がかかり良くありません。

また子猫の成長スピードは個体差が生じますので生後6ヶ月になっても体重が軽かったりと完全に終わっていない場合もありますので一度病院に受診し、獣医師と相談しながら子猫の去勢手術の日程を決めるとよいです。

手術前日および当日は食事や飲水を制限しなければいけないので必ず病院に指示された通りにしてください。病院側もお預かりする際にちゃんと絶食絶水しているか聞いていますが、もし手術前に食事をあたえてしまった場合は病院に必ず伝えてください。

去勢手術後のほとんどの猫が体重が一気に増えてしまう傾向があるので1日にあたえるフード量を決めたりオヤツのあたえすぎないようにしましょう。

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