猫の減量に効果的な2つの方法

猫の減量に効果的な2つの方法

飼われている猫には、肥満傾向の猫も多くいて、減量が必要な場合があります。猫の減量に効果的な2つの方法について、ご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

減量が必要な猫とはどんな状態の猫?

お腹にメジャーをまかれた猫

減量が必要な猫は、基本的に肥満状態の猫です。2015年に日本全国の18の動物病院にて、猫の肥満判定を行ったところ、明らかに肥満の猫は全体の42%を占めていたそうです。では肥満の猫とは、どのくらい太っているのを指すのでしょうか。

猫の肥満を診断する時には、その年齢での適正体重と現在の体重の比率を出す方法や、体脂肪率を推測するといった方法があります。実際に猫の肥満度合いを判断する時には、猫の体型と体重を目安にするのが一般的となっています。

猫のボディコンディションスコア=BCS

体型から判別する方法をボディコンディションスコア=BCSと言います。これはもっともよく使用されている方法で、誰でもできる方法です。

ボディコンディションスコアには2種類あって、BCS1〜5の5段階で分けられているものと、9段階のものがありますが、日本では5段階のものがよく使用されています。観察する部分は、肋骨や背骨の状態とくびれなどです。見た目と直接触った感覚で判断することができるので、非常に簡単な方法になります。

  • BCS1 やせすぎ
  • BCS2 体重不足
  • BCS3 理想体重
  • BCS4 体重過剰
  • BCS5 肥満

減量が必要だと考えられるのは、BCS5の肥満と、BCS4の体重過剰の猫だと言えるでしょう。

減量が必要な猫の特徴

BCS4の状態の猫は、体重過多となり、次のような状態となります。

  • 皮下脂肪が厚く、触っても肋骨がはっきりとわからない。
  • 骨格の盛り上がった部分が、よく触ってみるとなんとか分かる程度。
  • 腰のくびれがはっきりわからず、お腹部分が膨れている。

数値としてBCS4の猫は、理想体重の107%~122%、体脂肪率25%~34%となっています。BCS5の状態が肥満となりますが、次のような猫の状態を言います。

  • 皮下脂肪が厚いため、上半身を触っても、肋骨を触ることができない。
  • 尻尾の付け根部分に脂肪があるために、体との境目がわかりにくい。
  • 横から見るとおなかが垂れ下がっていて、上から見ると樽の形のようにお腹がせり出して見える。

数値としてBCS5の猫は、理想体重の123%~146%、体脂肪率35%以上となっています。見た目や触ることでわかるBCSという考え方を使うことで、飼い主さんでも猫が肥満かどうかわかるということですね。

どうしてもわかりにくい場合は、獣医さんに判断してもらってください。BCS5の猫は、積極的に減量を行った方がいいと言えるでしょう。

猫の効果的な減量方法2つ

ネズミのおもちゃで遊ぶ猫

猫の体重を減らす効果的な方法には、摂取エネルギー<消費エネルギーというバランスを作ることが肝心です。食事の量を調整して摂取カロリーを減らす、運動量を増やして消費カロリーを高めるといった2つの方法があります。

1.猫の食事量を調整して減量をさせる

食事から猫を減量させるには、まずフードを適切な量だけ与えること、ダイエットフードを与えること、などがあげられます。ただし、猫の減量では摂取カロリーを制限することは大切ですが、猫の体に必要な栄養素まで制限しないようにしなければなりません。

まず普段からたくさん食事をさせてしまっている場合には、当然、それが肥満の原因となっています。猫の体重と年齢に合わせた量のフードを与えるだけでも、肥満が解消される場合があります。

フードの量を厳密に計って与えること、必要な量は理想体重から導き出すことが大切です。

また、おやつを与えている時には、摂取カロリーの中に含まれます。おやつの与えすぎはもちろん余剰カロリーとなって肥満につながりますので、減量のためには、与える食事の5%までに抑えておきましょう。猫にダイエットフードを与えることでも、減量につなげられます。

猫の肥満猫用に作られたダイエット専用フードは、たんぱく質、炭水化物、脂質といった三大栄養素と、ビタミンやミネラルが、猫に必要な基準を満たすように作られています。

こちらも、猫の体重と年齢に合わせた適切な量を与えることで、減量が期待されます。飼い主さんが猫のおねだりに負けない、ということも減量を目指す時には大切かも知れませんね。

猫が不満を訴えてくる場合は、ウェットフードにしたり、食事の回数を増やしたり、満腹感を高めるフードにしてみたりしてください。 もう一つ大切なことは、現在の体重にあわせたフード量にするのではなく、理想としている、もしくは目指している体重に合わせたフード量にすることです。

2.運動量が自然に増える環境を作って減量する

効果的に猫の運動量を増やして減量するためには、少しずつの運動でも、続けて繰り返すということが大切です。猫は、瞬発力には優れていますが、長時間走るなどの運動には向かない生き物です。

運動させたい場合には、猫を遊ばせることが一番です。犬のように散歩させたり、人間がジムでやるように一定時間運動をさせたりして減量するということは、素人では難しいでしょう。

また急激に、負荷をかけて猫に運動させることは猫の健康にもよくありません。遊びを通して猫に運動をさせることで、少しずつでもカロリー消費が増えるようにしていきましょう。

具体的には、毎日5分から15分程度、猫と遊んであげると良いでしょう。最初は1、2分からでも良いので、遊ぶ時間をつくるようにしてみましょう。

猫の体重は、減量し始めたからといってすぐにどんどんと減っていくものではありません。猫の適切な体重の減少は、1週間で0.5~1.5%、1ヶ月で2~6%程度とされていますので、目安としてください。

また、高さのあるキャットタワーを置いたり、キャットウォークを設けたり、おもちゃを置いたりするなどして、猫が自然と登ったり遊んだりするような環境を作りましょう。おやつやフードを入れて自分で転がしながらだす知育おもちゃなども運動させるにはいい方法の一つです。また運動はネコさんのストレス発散にもなります。

飼い主さんがいない時でも、猫が自分で動くような工夫をして減量を目指します。ただ、運動だけで猫の減量をさせることは、猫の性質から考えるととても難しく、効果を出すのが大変です。

食事の管理と併用して運動を増やすことが、猫の減量につながると言えます。

猫が減量しないとどうなるか?

座っているふくよかな猫

猫が肥満の状態でいると、次のような弊害が考えられます。

  • 筋肉や関節への負担
  • 呼吸器への負担
  • 心臓への負担
  • 病気にかかる可能性があがる

体重が重いと足腰などへの負担が大きくなるので、関節や靭帯、背骨の間の椎間板などを痛めやすくなります。

猫が肥満になると首の周りに脂肪がつくので、気道が圧迫されて呼吸もしにくくなります。また、体重が増えれば、それだけ筋肉に血液を送り出している心臓への負担が増えます。

そして肥満になると病気にかかりやすくなります。糖尿病などがあげられます。

猫に減量が必要になる原因

大きなボウルの餌を食べる猫

猫が減量を必要とするほどの肥満になるには、次の原因が考えられます。

  • 食事の摂りすぎ
  • 運動不足
  • 避妊や去勢手術
  • 年齢によるもの
  • 病気や怪我によるもの

多すぎる食事は、エネルギーが余ることになり、猫を肥満にしてしまいます。特に、おやつを与えすぎていると、いつの間にか太ってしまうことになります。

猫の慢性的な運動不足も、肥満につながります。猫が減量する時には、摂取カロリー<消費カロリーとなるようにしなければなりません。運動をしないと、エネルギーが余って脂肪になってしまいます。

また、避妊や去勢手術をした猫は、太りやすいと言われます。手術によって体内のホルモンバランスが変わるため、食欲が増進したり、基礎代謝が低下したりするので、肥満につながります。

さらに加齢でも肥満になることがあります。年齢と共に基礎代謝が下がっていくため、食事量が同じだと、エネルギーが余ってしまうのです。体に負担がかかるほどの肥満になれば、減量が必要ですが、加齢の場合には極端な減量をさせるのも良くないと言えます。

病気や怪我の影響でも、猫が肥満になってしまうことがあります。関節炎がある猫や、下半身不随や麻痺になってしまった猫、怪我をして安静が必要な猫などは、運動ができないために太る傾向があります。

さらに、内分泌系の病気の猫も、体重増加という症状があります。病気や怪我が原因の肥満は、獣医さんに診てもらって、健康状態を維持しながら慎重に減量を行う必要があります。

猫の減量についてのまとめ

体重計に乗る猫

肥満状態になった猫は、健康のために、減量して適正体重になったほうが良いでしょう。

人間に飼われている猫は、飼い主さん次第で太ってしまいますが、飼い主さん次第で健康な状態に戻ることも可能だと言えます。

ただし、急激な減量は、猫の健康をかえって害してしまいます。極端にフードを減らしたり、急に長時間運動させたり、といったことはしないようにしましょう。

猫の減量は決して焦らず、健康を損なわないようにしながら、数ヶ月から1年以上といった、長い目で見ていくことが大切です。

太り気味の猫は、獣医さんにもアドバイスをもらって、正しく減量させてあげてくださいね。

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