猫の歯みがきは絶対必要?歯石がついたらどうなるの?

猫の歯みがきは絶対必要?歯石がついたらどうなるの?

猫にも歯みがきは必要なのでしょうか?結論はYesです。猫も歯の健康を守ることが健やかな毎日へと繋がります。今回は、猫の歯のトラブルとデンタルケアについてご紹介いたします。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

歯のトラブルは家猫の宿命!?

猫の歯

愛猫の歯の健康について意識したことはありますか?特に気にかけなくても白くて美しい歯を保っている印象があるかもしれません。

ところが、猫にとって歯の病気は身近なもので、放置すると大変なことになります。猫が歯のトラブルを抱えてしまうのには、家猫という特殊な生活が関係しており、いわば家猫の宿命のようなものなのです。

野生の猫は、狩りで得た獲物の肉を主食としています。肉をこそげ落とす過程で、歯に付着した汚れを落とすことができます。

一方、調理済みのキャットフードを食べている家猫は、汚れを落とす機会が減少します。それどころか、ウエットフードやペースト状のおやつによって歯に歯垢や歯石が付着しやすくなります。

歯が汚れるとどうなるの?

歯のチェック

歯の病気を侮ることで、どのような「大変なこと」が待ち受けているのでしょうか?歯の汚れが原因で起こるトラブルをいくつか挙げてみたいと思います。

歯垢

食べる猫

歯に付着した食べカスを栄養にして無数の菌が増殖し、粘り気のある歯垢(しこう)を作り出します。歯垢を形成する細菌が放出する酸によって、さらに歯は傷つけられていきます。

歯垢が歯石へと進化する

おやつを食べる猫

ネバネバとした歯垢を放置すると、硬い歯石(しせき)へと変貌を遂げます。歯石が付着した歯の表面は石のせいで凸凹してしまい、そこに新たな歯垢が溜まりやすくなります。

菌の温床になってしまった歯は、歯垢と歯石の悪循環を繰り返し、やがては歯茎にも悪影響が及びます。

歯石は悪化すると、動物病院で取り除いてもらう必要があります。ただし、この処置には全身麻酔が必須です。人間のように簡単に除去することができないのです。

歯周病

落ち込む猫

歯垢がもたらした菌は、歯石を作るだけに留まらず、口腔内の粘膜に炎症を引き起こします。炎症によって歯茎が腫れ、口臭が強くなり、よだれが出るようになります。(猫は通常よだれを垂らしません)

そして痛みから食欲を失い、元気がなくなります。これが歯周病です。最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯周病が悪化すると、他臓器へも影響を与える可能性があることが指摘されています。

猫にも歯みがき習慣を!!

歯ブラシを持つ猫

全身麻酔を必要とする猫の歯科治療は、多くのリスクを伴います。そこで、お口のトラブルを未然に防ぐことが大切なポイントになります。猫にも適切な歯みがき習慣を身につけましょう。

ここからは猫の歯をみがく方法をいくつかご紹介いたします。

歯ブラシを使う

歯を磨く猫

歯ブラシは、猫用のヘッドが小さいものあるいはローラータイプのものを使うと良いでしょう。顔が同じ方向を向くように抱き、唇をずらして歯を露出させると磨きやすくなります。

歯の根元に対して45度の角度でブラシを当て、小刻みに揺らしながら優しく磨きます。奥歯も丁寧に磨きましょう。嫌がるようであれば口を閉じた状態でトライしましょう。

最初は口元を触ることから始め、徐々に磨く姿勢に入ると抵抗が少なくなります。週に2~3回は磨いてあげてください。これを永久歯に変わる生後5ヵ月頃から開始するのが理想です。

ブラシ以外のアイテムの活用

歯を見せる猫

ブラシがどうしても困難な場合は、猫専用の歯磨きシートや、指サック型の歯みがきグッズなどを活用しましょう。磨き方はブラシと同様です。

くれぐれも人間用の歯みがき粉は使用していでください。キシリトールは猫にとって危険な成分です。

おやつやおもちゃで楽しくデンタルケア

おもちゃを噛む猫

おやつ感覚で食べながら歯の健康を維持できるものや、噛んで遊ぶことで歯の汚れを落としやすくするおもちゃもあります。実際に磨くことと併用しながら活用してみると良いでしょう。

その他にもサプリメントがあります。歯垢や歯石が気になると指摘されたら検討してみてください。ただし、おやつやサプリメントは獣医さんに相談してから取り入れるようにしてください。

まとめ

顔を舐める猫

猫の歯科治療は想像以上に大変なので、日々の生活の中で歯の健康を気にかけてあげることが重要です。愛猫に合った方法を上手に取り入れて、歯石や歯周病を予防していきましょう。

スポンサーリンク