干支に猫が選ばれなかった知られざる理由

干支に猫が選ばれなかった知られざる理由

概要

  • 干支(十二支)を民衆に浸透させるため動物に置き換えた
  • 干支に猫はいない理由は猫がネズミに騙されたからという説
  • 他にも猫のせいでお釈迦さまが亡くなったから説や中国に猫がいなかった説がある

私達の生活に馴染み深い干支ですが、干支の中に猫が仲間入りをしていないのを不思議に思ったことはありませんか?猫が干支になれなかった理由には、歴史や面白い伝説が隠されていました。今回は皆さんに猫が十二支になれなかった理由を紹介します。

干支と動物の関係

驚く猫

干支(十二支)は、中国の「殷」の時代に作られたと言われています。十二支は、12年かけて天を一周する、木星の軌道上の位置を示す「年」を数えるために作られたのです。やがて、干支は「月」や「時間」を測るためにも用いられ、現在で言うカレンダーや時計のような役割を果たしていました。干支を動物に例えたのには、民衆に年を浸透させるためでした。中国の王充(おういつ)という人物が、民衆に干支を浸透させるために、覚えやすいように民衆に馴染みのある動物達に置き換えて、文献を書いたのが始まりだと言われています。

しかし、なぜ干支に「猫」がいないのでしょうか?馴染み深い動物を選んだとしたら、中国にも猫はいたはずです。今回は、干支に猫が入れなかった理由を考えて行きたいと思います。

干支に猫がいない理由

「ねずみのせい!」猫が干支に入れなかった可哀想なお話

猫の写真

皆さんは子供の頃に、「なぜ干支の中に猫がいないの?」と疑問に思ったことはありませんか?私達にとって馴染み深い動物なのに、干支の中に猫がいないなんておかしいですよね。私は子供の頃、干支の中になぜ猫がいないのか疑問に思い、おばあちゃんに聞いたことがありました。そんな疑問に対し、おばあちゃんが教えてくれたのは、「干支に入れなかった猫」のお話でした。

昔々、森の動物達を集めて神様が言いました。「1月1日の午前0時までにこの神社に集まった動物達の中から、最初に来た動物から12番目の動物までを干支にする!」

神様の話を聞いた動物達は、干支になるために気合を入れました。その動物達の中でも体の小さなねずみは、「自分が1番になれば、汚名返上できる」と考え、この干支の中で1番になるのを狙っていました。早起きが苦手で大切な集まりに参加することが出来なかった猫は、干支の噂を後から知り、仲良しのねずみに、干支になるにはどうすればいいのかを詳しく聞くことにしました。

猫に干支の話を聞かれたねずみは、「あ~、その話ね。1月2日の午前0時に神社に集まった動物達の中から、最初に来た動物から12番目までの動物達が干支に入れるんだよ」と答えました。ねずみから嘘のお話を教えられた猫は、ねずみを疑う事なく信じてしまいました。猫は干支に入るために、寝ないで挑もうと思い、当日は寝ないでずっと起きていることにしました。

ねずみはなぜ、猫に嘘をついたのでしょうか?それは、自分が1番になるための作戦だったのです。猫に嘘の情報を教えたねずみは、自分が1番になるために考えました。「自分の小さな体では、早い時間に出発をしても時間がかかってしまい、1番になることができない。」と、そこで思いついたのが、早起きが得意な牛に相談することでした。

「集まりの日、1番乗りを君に譲るから、僕を牛さんの背中に乗せて行ってくれないかな?」この話を聞いた牛は、ねずみに協力してあげることにしました。そして、干支が決定する運命の日がやってきました。ねずみは牛の背中に乗って、1番乗りを目指して時間に余裕を持って出発しました。

辺りはすっかり暗くなっていましたが、自分達の前を歩いている動物はいません。そして、神社の入り口が見えてきました。そこでは、神様が動物達の到着を待っています。干支の1番目になることが嬉しいと喜びながら、神社の入り口に足を踏み入れようとした牛でしたが、その時、ねずみが牛の背中から飛び降り、ねずみはそのまま1番乗りで神社の入り口に到着しました。神様は「干支の1番目はねずみじゃ!」と言いました。大喜びするねずみ、牛は仕方なく2番になってしまいました。

神社にぞろぞろと動物達が集まってきました。トラ、ウサギ、辰、蛇と、次々に干支が決まっていきます。サルと犬は途中まで仲良く神社に向かっていましたが、途中で「我先に」という気持ちが出て喧嘩をしてしまい、サルは犬を追い越していきます。犬は、鶏にも追い越されてしまい、サルに対して怒りました。それ以来、サルと犬は犬猿の仲となってしまったのです。その後、12番目にイノシシが神社に入り、干支が決定しました。

その頃、ねずみに嘘の話を聞いた猫は、出発に向け準備をしていました。1月2日の午前0時に神社に着いた猫。周りを見渡すと、そこには誰もいません。猫は「自分が1番乗りした」と喜んでいました。

しかし、いくら待っても動物達どころか、神様すら現れません。不安に思った猫は、木の枝で寝ていた小鳥に聞きました。すると小鳥は、「干支の集合は昨日の晩に終わったよ!1番乗りはねずみさんだって。」と猫に教えました。その言葉を聞いた猫は、ねずみに騙されたことを知り、怒ってねずみの元に行きました。猫がねずみに抗議すると、ねずみは冷たく「騙された猫が悪い、神様が干支のお話をした時の集まりに寝坊したしたのだから。」と言いました。それ以来、猫とねずみは仲直りが出来ず、現在でも猫はねずみが大嫌いでいるそうです。

このお話を聞いて、猫が可哀想に思いました。ねずみに騙されていなければ、干支に猫がいたかもしれません。

干支に猫がいないその他の説

十二支のカラフルな置物

猫のせいでお釈迦様が亡くなってしまった話

80歳の時、お釈迦様は体調を崩して、亡くなられてしまいました。原因はキノコ料理を食べて、中毒症状を起こしてしまったからです。キノコを食べて体調を崩してしまったお釈迦様は、ねずみに「食中毒に効く薬があるので、とってきてほしい。」と命じました。お釈迦様に命じられたねずみは、お釈迦様を助けるために、急いで薬を取りに行きます。

しかし、薬を取りに行く途中で猫に出くわしてしまい、ねずみは猫に捕まって、食べられてしまいました。お釈迦様の使者として、薬を取りにいったねずみが食べられてしまったので、お釈迦様は薬を飲む事が出来ずに、亡くなってしまったという伝説があります。そのため、猫は干支の仲間に入ることが出来なかったというお話です。

中国にはもともと猫がいなかった!

猫が干支の仲間入りを果たすことが出来なかったのは、中国には昔、猫がいなかったからという説もあります。猫はもともとエジプトの動物で、古代エジプトではスフィンクス(神様)として崇められるほど、エジプトの人達にとって馴染み深い動物でした。

古代エジプトはとても栄え、強大な帝国でもありました。そのため、古代エジプトの象徴でもある猫は、他国から嫌われる対象になってしまったのです。他国から嫌われていた猫は、紀元前30年頃まで、他国で飼育されることがありませんでした。猫が飼育されるようになったのは、エジプトがローマ帝国に滅ぼされてしまってからだと言われています。そのため、干支が作られた頃の中国では、猫は庶民にとって馴染みが浅い動物だったのかもしれません。

海外の干支の中に猫がいる!

私達の生活に馴染み深い干支ですが、日本や中国だけでなく、他の様々な国でも活用されています。日本や中国では、干支の中に猫はいませんが、チベット、タイ、ベトナム、ベラルーシの干支には、ウサギではなく猫が仲間入りをしています。

なぜ、ウサギではなく猫が干支になったのかは諸説あります。中国語の発音でウサギは「mao(マオ)」なのが、ベトナム語の猫を意味する発音「meo(メオ)」に近いこと。ウサギはベトナムでは馴染みが薄い動物で、猫はベトナムに暮らし、人間にとってねずみからお米を守ってくれる動物として、身近な存在であったこと。このようなことから、ウサギではなく猫になったのだと考えられています。

その他にも、ブルガリアでは干支の動物達の中に、トラではなく猫が仲間入りしていたりと、干支の動物達も、その国で馴染み深い動物達に変化しています。

干支と猫に関するまとめ

ベトナムの猫の切手

猫が好きな人にとっては、猫が干支に選ばれなかったことに対して、少し悲しい気持ちを抱くと思います。私も子供の頃は、猫が干支に選ばれなかったことを悲しいと思っていました。しかも私はねずみ年なので、おばあちゃんから猫が干支に選ばれなかった理由を聞いて、ショックで泣いてしまいました。おばあちゃんに対して、「ねずみ年なんかなければいいのに!」と怒ったことがあります。

こうして干支について調べていくと、海外では猫が仲間入りしていたり、猫が中国では馴染みの浅い動物であったりと、歴史や文化の違いを感じて、とても面白い発見をすることが出来ました。皆さんもお正月になったら、干支のお話を家族にしてみて下さい。きっと楽しいお正月を過ごすことが出来ると思います。

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